第五話
僕達はTOKYO村を後にして、

じゅっせい村に逃げ込んだ。

僕が見たTOKYO村の最後の風景は、崩れ落ちる僕達の家だった。

終わった。そう思いたかった。

だが3人は目覚めなかった。

何故だ。僕の計画の何が間違っていたんだ。

そして門を出た後の風景が、僕を驚愕させた。

そんな。嘘だ。

目の前には殺した筈だったたぬきちが立っていた。
「ナカジマさんだも〜?」


僕は新しい家に飛び込む。
何もかも、TOKYO村に引っ越してきた時と同じだ。まさか、そんな。
僕達は永遠にこの空間から脱出出来ないのか。
それともこんな考えすら神は傲慢だと言うのか。

僕は頭をフルに使って考えた。
だが、どうしても脱出の方法が思い付かない。
クッパだけでは力不足なのだ。
だが、僕の持っていたこの空間の通貨、ベルの素材―
悪魔を現世で実体化するのに必要な物質マグネタイトでは、クッパを実体化させるだけで精一杯だった。
「ユミコ…!」
もう駄目だ。僕の手には焦りからか汗が、目には苦しみのあまり涙が滲んだ。
僕はベルをもう持っていない。無一文なのだ。

…僕は落ち着いて、じゅっせい村の地図を見直す。

僕は自分の眼を疑った。この村にはボンとももこが住んでいた。
僕の頭の中には落胆と、激しい憤怒が渦巻いていた。
何者かが僕達に何かしようと企んでいる。そうに違いないのだ。
ベルはまた集め直せばいいのだ。…もう僕は、使えるものは全て使ってやる。
悪魔召喚プログラム。魔王クッパ。そして新しい悪魔。
住民の魂。ベル。金の神器、そして、ハザマとベス。
僕は怒りのあまり震える手を押さえながらパソコンとラックの前に座った。

「ちくしょう、殺してやる」