第九話
僕は事の始まりからここまでの事をユミコに話した。ユミコはもう僕の事など信じないかの様な鋭い視線を向ける。
「…あなたは今まで殺してきたどうぶつ達の事を何も思わなかったの!?」
ユミコは激しい言葉を僕にぶつける。
「何を言っているんだい?ユミコ。所詮、どうぶつ達は何人も同じクローンが居るんだ。それに本当は僕とこの世界とは何の繋がりも無い。
…例え村一つを潰したとしても、この空間にも僕にも何も影響しないさ」
僕はユミコの動きを封じる為に悪魔を呼び出す準備をしていた。
何故、こんな事になったのだろう。僕の計画は間違っていなかった筈だ。
それをユミコが認めなかったから?…違う。本来ならユミコは目覚める事が無かった筈だ 。
ユミコは目覚めた。
…それなら僕がこの空間の条理を少しねじ曲げた事にはなる。
計画はまだ終わってはいない。十分、続行出来る。
よし、準備が出来た。僕は自分自身を確認してENTERキーを押す。
『グキュグパァ!!』
魔獣ディアルガ。
もうユミコの動きを止める為には…
「ナカジマ君…あなたは何処まで…!」
ディアルガが動きだすとユミコは手を翳した。
「gu・slit!」
ユミコの手から突然光が発せられると、ディアルガはそのまま眠りに落ちてしまった。
間髪を入れずにそのままユミコはディアルガの頭を掴む。
「agi・rama!」
ユミコはそのままディアルガを骨になるまで焼き尽くしてしまった。
馬鹿な。…ユミコの力は僕の予想を遥かに凌駕していた。
「…ももことボンは私に、色々教えてくれたし、友達にもなってくれた!なのに…あなたは…ナカジマ君!」